成功する展示会は戦略的な企画のグランドデザイン力
ここまで展示会を成功に導くための方法の数々をお伝えしてきました。
それをまとめると、
1.【法人営業の新規開拓を最大効率化する方法】のパートでは、法人営業(BtoB取引)の新規開拓において、一般的に用いられる方法のメリット・デメリットを挙げ、それらの方法と展示会を比較した場合の展示会の優位性について検証してみました。
2.【中小企業の展示会出展でよくある6つの間違い】のパートでは、中小企業が展示会に出展する際に起こしてしまいがちな間違いを6つ挙げてみました。
3.【展示会を成功させる企画コンセプトのつくり方】のパートでは、展示会を成功させるための秘訣として、企画のコンセプトをどの様に決めていけばよいかを、「目的」、「商品選定」、「目標」「メッセージ」の要素ごとに解説しました。
4.【「AIDMA(アイドマ)の法則」を活用し成功した展示会の具体的な事例】のパートでは、「アイドマの法則」という、人間の購買心理や行動心理に基づきながら、それぞれのパーツを展示会でどのように活用するか、具体的な事例を交えながら説明しました。
5.【展示会のブース設営でやってはいけない装飾とパネルレイアウト】のパートでは、展示ブースの装飾でやってしまいがちな間違いや、集客力を高めるパネルレイアウトの方法を解説しました。
6.【展示会スタッフの理想的な服装と人員配置とは?】のパートでは、来場者をスムースにブース内へ導き入れるための導線設計や雰囲気づくりの重要性と、スタッフの服装や人員配置に関する禁止規定についてお伝えしました。
7.【展示会でアンケートが必要ない理由】のパートでは、展示会でアンケートを取る必要が無い理由として、ニーズのリサーチやBANT条件を基にしながらお伝えしました。
8.【展示会後に確実に成果に切な繋げる適切なフォローアップの仕方】のパートでは、展示会後の効率的なフォローアップの方法として、クローズクエスチョンを使った質問法をご紹介しました。
展示会を成功に導くためには、とにもかくにも、展示会でどのような成果を得たいのかという明確な目的と目標の設定が必要です。目的と目標が決まれば、あとはそれを達成するためのステップに沿って実行するだけです。
展示会を成功させるためのステップは、以下の通りです。
- ステップ1 展示会を探す
- ステップ2 展示会の企画を練る
- ステップ3 展示会を実施する
- ステップ4 営業フォローする
ステップ1 展示会を探す
展示会出展先の探し方は、まずどの様な見込み客を集めたいのかを決定します。ターゲットが決まれば、そうした人が足を運んでいそうな展示会をインターネットで検索します。例えば、人工芝を扱うメーカーだったら、【ガーデン 展示会】とか、【庭 展示会】などで該当する展示会を見つけます。
該当する展示会を見つけたら、それをリストアップし、展示会を主催する担当者に直接電話で詳細を確認します。その際に確認する内容としては、過去の来場者数、開催実績、参加した競合企業、展示会後の商談状況や具体的な取引へと繋がったかどうかなどですが、遠慮することなくズバリ聞いてください。展示会を主催する担当者からしても、ブース枠を販売したいので快く答えてくれるはずです。
さらには、もっと踏み込んで、「私はこういうような商品を取り扱うビジネスをしていますが、私のような会社の過去の商談の実績どうでしたか?」とか、「出展して、しっかり元は取れるのですか?」など、ズケズケ聞くのがポイントです。毎年開催されているような展示会であれば、必ず資料にまとめていますので、もしも担当者が答えられないようだったら、怪しいと疑ってみましょう。何も遠慮することなく、担当営業マンを活用してください。
競合が多数参加している展示会を躊躇される方がいますが、それは大きな間違いです。ライバルが出展している展示会こそが正解なのです。むしろ、そうした展示会こそ、狙い目にするのです。なぜなら、その展示会はライバル会社にとって多少なりとも効果があると感じているからこそ出展しているからです。
恐らく業界内では有名な展示会であり、来場者数も多いことで、出展するだけでもそれなりの成果が見込めているはずです。しかしながら、そうした会社には申し訳ないですが、生ぬるいやり方でただ参加しているだけで、ここまで戦略的に考えて出展していない場合がほとんどです。それでも、周りも似たり寄ったりのやり方なので、まずまずの成果が得られたと思い込んでいるのではないでしょうか。
こうしたライバルを尻目にして展示会を戦略的に企画すれば、まず間違いなく圧勝することができるはずでしょう。
ステップ2 展示会の企画を作る
戦略的展示会は企画づくりからスタートさせます。まずは目標設定から始めてください。
もし、どうしても目標が設定できない場合においても、展示会で何をするのかといった目的だけは、最低限決めておかねばなりません。そして、その目的を展示会に参加するメンバー全員で共有してください。事前の目標や目的があったとしても、それを共有しないまま出展している方が実に多いのです。メンバー間において、この共有がなされていない場合、結果が出ないのは当たり前です。
目標を決定した後、出展商品を選定していきます。ここでのポイントは商品の絞り方です。基本は売れている商品、実績のある強い商品から選んでください。今、売れている商品は既に市場での認知があり指示されている商品なので、それをさらに伸ばしていく。または、その商品をきっかけとして見込み客を獲得する。そうした発想で商品を選定したほうが結果的に上手くいくからです。
商品の選定ができれば、その商品をいかにアピールしていくかの企画を、AIDMAの法則に従い練り上げてください。展示会は企画が全てです。良い企画こそが成果を決定づけるといっても決して過言ではないのです。
ステップ3 展示会を実施する
実際の展示会を実施する上で重要なことは人員の配置です。どこに誰を置くか。メンバーが商談中に他の来場者が訪れた場合、誰がフォローしていくのかを徹底します。また、声を掛ける時のトークは事前に決めておき、これをメンバー間で共有しておくことも大切です。
効果的な声掛けの仕方としては、次のとおりが参考になるでしょう。
「●●をご覧いただいているようですが、何かご不明な点などございましたでしょうか」
その際、やりすぎは禁物です。あらかじめ決めた所までのアプローチに徹するのです。例えば、展示会では資料請求をしていただける見込み客集めに徹するとした場合は、声掛けをして名刺を頂戴し、資料を渡して終わりです。その場でのそれ以上のトークはすべてオーバートークになります。詳しい説明を聞きたがる見込み客に対しては、丁寧に状況を説明し、後日電話もしくは直接訪問するなどして対応すればいいのです。
当日の様子を見て、企画が思惑どおりに進んでいないと感じた場合は、必ず2、3日目に改善を行うことを心がけてください。初日はテスト運営です。過去の行われた展示会の傾向を振り返ってみた限りでは、1日目は来客数が少ない傾向にあります。主催者側も2、3日目に大勢の人が来るような曜日設定で開催するケースが多いので、1日目は試運転として考えて支障はありません。ただし、試運転といっても、気付いた点や改善箇所があった場合には、すぐに対処を施さねばなりません。
例えば、来場者に対するブースの動線設計や、展示の仕方などに問題が生じた場合にはすぐに対処し、修正をすれば、2日目、3日目に勝負をかけることができるのです。
実際に私がお手伝いした展示会では、初日、当初想定していた企画のとおりにAIDMAの設計が機能していないと感じたので、人の流れを見ながら修正しました。その結果、2日目、3日目には見事リカバリーに成功して、予定以上の見込み客を集めることができました。短期間の展示会であっても、PDCAを回すことで大きな成果を生み出せます。
ステップ4 営業フォロー
展示会終了後は、必ず電話または直接訪問するなどしてフォローアップします。その際に、ただ闇雲にフォローしたとしても時間ばかりが取られ効率が悪くなります。
ここで、重要なポイントとしては、結論だけを簡潔に聞くということです。それには、聞き方自体をクローズクエスチョンにする必要があります。クローズクエスチョンとは、YESかNOで答えられる質問形式のことを差します。ちなみに、YES・NOで答えられない質問はオープンクエスチョンと言います。
私が良く用いるクローズクエスチョンのやり方をご紹介しますので、是非参考にしてください。私の場合、展示会で資料請求された方には、資料のみを送るのではなく、必ず次のステップへと進みやすくするための特別オファーを用意するようにしています。
具体的な質問としては、次のようなトークを用意しておきます。
「●●の特別オファーをご用意させていただきました。期限が▲▲までと迫ってきております。このような特典は必要だったでしょうか。それとも必要でなかったでしょうか。」
これのみを伝えます。あとは余計な話は一切しません。本当に検討したいと考えている見込み客なら、これだけの質問で充分です。
さらには、特別オファーには受け取ることができる期日を設定しておくことが肝です。【いつでもOK。無期限】ではいけません。なぜ、ここまでするのかといえば、すべては営業フォローするための理由作りです。資料には必ずオファーを入れておいてください。そうすることで、目標はより達成しやすくなるはずです。
展示会を成功させる秘訣は「逆算の思考」と
「グランドデザイン力」
展示会を成功させる秘訣は「逆算の思考」と、それを実現するためのです。
「逆算の思考」を例えて言うならば、一流のプロゴルファーのそれと同じです。一流のプロゴルファーは必ずカップから考えます。一方で、アマチュアはティーグラウンドからしか考えません。一流のプロは、最少打数でカップに入れるためにすべてのショットをカップからイメージし、グリーンのどこにボールを落としたほうがベストか。その前に打つショットはどこに運ぶべきかというようにすべてを逆算で思考します。
どこまでを展示会でやっていて、どうやって資料請求させて、見積もり、商談、契約までの階段をいかに登らせるかを戦略的に設計した上で展示会をグランドデザインする必要があるのです。
売上74倍を達成した原動力『戦略的展示会出展法』小冊子
展示会を成功させるためのノウハウを冊子にまとめました。
これ1冊で、戦略的に展示会に出展し、成功へ導くための方法が体系的に理解できます。
■目次
第1章 展示会でよくある6つの間違い
第2章 展示会の成功事例
第3章 展示会成功のための戦術
第4章 ケーススタディ(出展までの生々しい企画)
第5章 成功への階段を登る!開拓までの4つのステップ
B5版 69ページ
定価:700円+税
著者 加藤洋一
企画・編集 株式会社 U.S.P
URL https://www.usptool.com
発行所 ミチテラス出版